「このまま急性期で働ける?」結婚・出産を考えた看護師の職場選び
夜勤続きで生活リズムはボロボロ。有給を取りたくても取れない。
「そろそろ結婚も考えたいけど、今の働き方じゃ現実的じゃないよね…」 「妊活したいけど、夜勤続きで体が全然ついていかない」
「今の激務を続けながら家庭を持つべきか」
「働きやすい職場に移るべきか」
急性期病院で働いていると、結婚や妊娠・出産を考え始めたタイミングで、こんな風に悩むことがあるのではないでしょうか。
私自身も大学病院で働いていた頃は、残業や夜勤が当たり前。
先の予定も立てにくく、
「この働き方のまま、結婚して子どもを育てられるかな?」
と思っていました。
この記事では、なぜ急性期の現場だと結婚・妊娠・出産との両立が難しくなりやすいのか。
そして、これからライフプランを考える看護師さんが、職場で見ておきたいポイントについてまとめていきます。
急性期看護師が「結婚・子育て」と両立しづらい理由
「急性期病院=忙しい」は看護師の中ではある意味常識かもしれませんね。
重症患者さんの対応が多くですし、予定外の入院や急変もあります。必然的に業務量は増え、看護師個人にかかってくる負担が大きいのです。
私も大学病院で働いていた頃、「今日は勤務時間内に記録を書けそう。」と密かに喜んでいる時に、「緊急入院とれる人いる?」というパワーワードが飛んでくることがありました。
その時点で業務が一番進んでいた私が緊急入院を取ることになり、結局誰よりも残業。
退院支援、看護計画、必要な書類、記録。
通常業務をこなしながら急な入院や急変にも対応するため、どうしも勤務時間外に仕事がずれ込みやすくなります。
「残業が多い」が当たり前になっている
急性期病棟では、人員配置や病棟の状況によって、記録業務や急変対応の負担が大きく、定時で帰ることが難しい職場もあります。
私が働いていた大学病院では、19時までは残業することも珍しくありませんでした。
「今日こそ早く帰ろう」と思っていても、結局いつも残業。
そんな生活が続くと、パートナーと過ごす時間や、家事・自分の体を休める時間までどんどん削られていきます。
結婚や妊娠を考えるうえで大切なのは、特別なイベントの日ではなく、毎日の生活だと思います。
慢性的な残業が続いていると、その「普通の生活」を整えること自体が難しくなります。
そして、子どもが産まれると、さらに現実的な問題も出てきます。
私が働いていた頃にも、「保育園のお迎えに間に合うように仕事を切り上げなければ。」と毎日時間を気にしながら働いている先輩ママがいました。
残業が当たり前になっている職場で、毎日決まった時間に仕事を切り上げる。
これは思っている以上に大変です。
夜勤・シフト勤務で「予定が立てにくい」働き方
二交代・三交代の夜勤、急変対応での残業、人手不足による仕事の多さ…。
シフト勤務の看護師は、自分の予定を自分だけで決められないことも多いですよね。
私の場合、休み希望もを出せるのは2ヶ所まで。張り出された勤務表を見ながら、他のスタッフとできるだけ重ならないように記入していました。
休み希望を入れる段階ですでに気を使います。
しかも、勤務表が出るのは直前。カレンダー通りの休みでもないので、先の予定が立てにくかったです。
旅行の予約をしても、休み希望が通らずキャンセルしたこともありました。

結婚後は、パートナーと休みを合わせたい場面も増えます。
妊活や不妊治療となれば、さらに予定の調整が難しくなることがあります。
不妊治療では、「来週の休みに行こう」ではなく、キッチリ「⚪︎月⚪︎日に来てください」と通院日を指定されることがほとんどです。
そのたびに、勤務を調整したり、急なお休みを相談する必要があるため、職場の理解があるかどうかはとても大切だと感じます。
「有給を取りたい」となかなか言い出せない空気がある職場も、まだまだ多いと思います。
妊活や不妊治療との両立が難しい
夜勤明けはとにかく眠い。気持ちも少しネガティブに傾きやすくなるように感じます。
休みの日も昼夜逆転の影響か、疲れていて寝て終わる。
夜勤や残業が続くと「今日は何もしたくない」となってしまうこともありますよね。
妊活をしたいと思っていても、
病院に行く時間がない。
疲れすぎていてそれどころではない。
パートナーと予定が合わない。
そんなことが続けば、「今月は病院に行く余裕がなかった」と、妊活自体が後回しになってしまうこともあります。
特に通院が必要になった場合、「急なお休みを取れるか」「勤務変更を相談しやすいか」という職場環境は、とても重要になってきます。
妊娠してからも忙しい病棟勤務は大変
妊娠すると、これまで普通にできていた仕事でも負担に感じることがあります。
体位変換や移乗。
長時間の立ち仕事。
夜勤。
残業。
病棟では人手が少なくなる時間帯もあるため(特に夜勤)、「重い患者さんは持たなくていいよ」と言ってもらえていても、状況によってはやらざるを得ない場面も出てきます。
感染症の患者さんを担当することは、妊娠中は特に不安を感じると思いますが、夜勤などスタッフが少ない場面では受け持つこともありますし、日勤でもある程度は関わらないといけないことも。
制度として夜勤免除などの配慮を受けられる場合でも、「人手が足りないのに自分だけ抜けるのは申し訳ない」と感じてしまう人もいます。

制度があることと、気兼ねなく使えること。これは、少し違うのだと思います。
産休・育休から「戻りにくい」現実
復帰後も残業が多いことや夜勤に入らなくてはならないなど、子育てとの両立が難しい場合があります。
時短勤務で復帰しても、結局は仕事が終わらず残業をしたり、他のスタッフも忙しいため残った仕事を引き継ぐことに気兼ねしてしまうことも。
残業が少ないとされている、外来や連携室などはポジションが少なく、病棟での勤務になることが大半です。
どうせ、残業になるならと、結局フルタイム・夜勤ありに戻らざるを得ないケースもあり、疲労してしまう看護師ママも多いです。
子育てと夜勤・残業を両立させるのは、手伝ってくれる家族がいるなら可能かもしれませんが、ワンオペが多いママならかなり大変です。
職場の空気が「妊娠・出産」の壁になることも
制度以上に大きいのが、職場の雰囲気かもしれません。
「妊娠しても夜勤はするんだよね?」
「また人が減るのか…」
そんな言葉を聞いてしまうと、妊娠という本来おめでたいはずのことなのに、「周りには迷惑なのかな」と感じてしまうことがあります。
私が大学病院で働いていた頃、新卒で妊娠した同期への風当たりが強かったように感じたこともあります。
「まだ夜勤もちゃんとできないのに妊娠?」そんな風に言われていたこともありました。
仕事に余裕があれば、もっとみんなで喜べるのかもしれません。
師長も、「いつ休んでも大丈夫だよ」と人員を調整できるかもしれません。
でも、現実にはその余裕がない。
誰か一人が抜けると、残った人への負担が増える。
その結果、本来妊娠した本人には何の落ち度もないのに、気まずい空気が生まれてしまうことがあります。
真面目な人ほど、「迷惑をかけたくない」と考えて、妊娠の報告や休暇の相談をためらってしまうのではないでしょうか。
産休・育休をあきらめて退職する看護師もいる
私はこれまで、産休・育休に入る前に退職していく看護師さんを何人か見てきました。
「もう働き続けるのは限界」
「復帰後の働き方が想像できない」
「今の忙しさの中で妊娠を報告するのが申し訳ない」
「妊娠の不調で休むくらいなら辞めた方が気が楽」
そんな気持ちもあったのではないかなと思います。
看護師は人手不足の職場も多く、退職したいと言っても引き止められることがあります。
だからこそ、結婚や妊娠が、「今なら辞められる」というきっかけになっていたようにも感じました。
でも、これは少しもったいないとも思うのです。
産休・育休は、出産や育児をしながら仕事を続けるための大切な制度です。
私自身も育休中に給付金を受け取り、本当に助けられました。
私の場合は、育休中に月約22万円、その後は約17万円が支給され、本当に助かりました。
受け取れる金額や条件は働き方によって異なります。それでも、せっかく今まで働いてきて利用できる制度があるのであれば、「なんとなく知らないまま辞める」のはもったいないと思っています。
結婚や妊娠を考えている看護師さんにとって大切なのは、
「産休・育休がある職場」だけではなく、「その制度を気兼ねなく使える職場」に身を置くことなのかもしれません。
もちろん、忙しい病院にはやりがいもありますし、働くことが大好きという方もいるでしょう。
だけど、プライベートを大切にしたいと思う時期も長い人生の中にはあるのかなと思います。
大学病院から慢性期病院へ転職した私の場合
私は5年間働いた大学病院を辞めました。
でも、当時は結婚や妊娠が原因ではなく激務と、人間関係に疲れてしまったことが大きな理由でした。
大学病院を辞めた後は、悩みましたが「今のうちに違う所に住んでみたい」と、応援ナースとして沖縄で働くことに。
思っていたより楽しく、沖縄生活を満喫したあと「そろそろ今後の生活を考えないとな」と思うタイミングがやってきたのです。
その時に初めて「結婚や妊娠したあとも働き続けられる職場」という視点で転職先を探しました。
元いた大学病院では、
残業。
委員会活動。
看護研究。
夜勤。
そういった仕事と家庭生活を両立するのは、私には難しいと感じていました。
そこで選んだのが慢性期の病院です。
転職活動では、ハローワークを使ったり、転職エージェントに相談したり、自分で気になる病院のホームページを調べたりとたくさん調べました。
いろんな求人を見て考えてみても、急性期から慢性期へ転職を考えた時、
「症例も少ないし、できる処置も限られる」
「看護師としてこれでいいのかな?」
そんな不安はありました。
でも、今はこの選択で良かったと思っています。

産休・育休も問題なく取得できましたし、柔軟な働き方ができて、子どもを育てている今も働き続けていますよ。
急性期を離れたからといって、看護師人生が終わるわけではありません。
むしろ、自分の人生に合った働き方を選ぶことで、長く働き続けられることもあると思っています。
結婚・妊娠前の転職で失敗しないために
働きながら転職活動をすると、求人票だけでは分からないことがたくさんあります。
例えば、
・実際の残業時間
・有給休暇の取りやすさ
・産休・育休を取得した職員がいるか
・育休から復帰した人がどんな働き方をしているか
・子どもの急な発熱で休みやすいか
・時短勤務を利用している看護師がいるか
こうした情報は、求人票だけではなかなか見えてきません。
看護師専門の転職エージェントを利用すると、担当者から職場の内部事情について情報を得られることもあります。
「絶対に転職する」と決めていなくても、「今より働きやすい職場にはどんなところがあるんだろう?」という段階で情報収集を始めてもいいと思います。
私はエージェントだけではなく、ハローワークや病院のホームページも合わせて見ていました。

情報源はひとつに絞らず、できるだけ多く持っておく方が、自分の希望に合った求人を見つけやすくなります。
「子育てと両立できる職場働」のチェックポイント
転職先を探す時は、まず自分の譲れない条件を書き出してみるのがおすすめです。
| 観点 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 残業の実態 | 月平均残業時間、サービス残業の有無 |
| 夜勤・オンコール | 夜勤の頻度、緊急呼び出しの有無 |
| 人間関係 | 離職率、勤続年数の傾向、面接時の職員の雰囲気 |
| 産休・育休の実績 | 直近数年の取得人数、取得後の復職率 |
| 急な休みへの対応 | 子の看護休暇・有給の取得しやすさ、シフト調整の柔軟性 |
| 院内制度 | 院内保育所、時短勤務、夜勤免除制度の有無 |
急性期病院以外にも、看護師が働ける場所はたくさんあります。
クリニック。
健診・人間ドック施設。
透析クリニック。
訪問看護。
介護・福祉施設。
企業の産業看護師。
慢性期病院。
リハビリテーション病院。
ただし、「クリニックだから楽」「慢性期だから必ず残業が少ない」というわけではありません。
同じ業態でも、職場によって働き方は大きく違います。
「どこで働くか」だけではなく、
「その職場で実際にどう働いている人がいるのか」まで確認することが大切です。
まとめ|結婚・妊娠を考え始めたら働き方を考えてみよう
急性期病院での激務は、個人の努力だけではどうにもならないことがあります。
どれだけ頑張っていても、緊急入院は来ます。
患者さんの急変もあります。
忙しくても、看護計画を立て、退院支援をして、記録もしなければいけません。
業務を効率化しても、その分また別の仕事が増える。
「やればやるほど仕事が増えていく…」と感じることもありました。
これは、「私たちの頑張りが足りない」という話ではなく、急性期という職場の仕組みによる部分も大きいと思っています。
結婚や妊娠・出産は、自分でタイミングを決められるようで、思い通りにならないこともあります。
だからこそ、「その時が来てから考える」のではなく、「今のうちに選択肢を知っておく」ことが大切です。
「夜勤なし」
「残業少なめ」
「時短勤務に理解がある」
そんな職場への転職も、選択肢のひとつです。
私が特に「もったいない」と感じることは2つあります。
ひとつは、せっかくこれまで働いてきて利用できる制度があるのに、産休・育休や給付金についてよく知らないまま退職してしまうこと。
もうひとつは、結婚・妊娠を考えて転職したものの、転職先の育休制度や雇用保険の加入状況などを確認しておらず、「思っていた条件と違った」と後から気づいてしまうことです。
産休・育休を取得できる条件と、出産手当金や育児休業給付金を受け取れる条件はそれぞれ異なります。
転職と妊娠の時期が近くなりそうな場合は、退職する前に一度確認しておくと安心です。
私自身、産休・育休中の制度にとても助けられました。
だからこそ、働き方を変えるなら、「今より少し楽そうな職場」というだけではなく、「結婚・妊娠・出産をしたあとも働き続けられそうか」という視点も持ってほしいと思っています。
結婚・子育てを見据えるタイミングは、働き方そのものを見直すひとつの区切りです。
転職する・しないは、あとで決めても構いません。
まずは自分がこれからどんな生活をしたいのか。
仕事と家庭、どちらをどれくらい大切にしたいのか。
自分の人生プランと優先順位を考えて、今の職場と他の職場
ることから始めてみてくださいね。
